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削らないむし歯治療とは?環境を整えてから治す_令和のコンセプト

茨城新聞

2026年10月記事

 

削れば治るの落とし穴

 

虫歯は「削って詰めて」では終わらない

令和の時代のむし歯治療は、「環境を整える」ことから始まります

「詰めものが取れたので歯医者に行ったら、他にもむし歯があると言われました」

こんなご相談は、とても多くいただきます。「治したはずなのに、なぜまた?」と、がっかりされる方も少なくありません。

実は、この「なぜまた?」の答えこそが、虫歯治療でいちばん大切なところです。開業して30年、虫歯の治療を続けてきた私の実感も交えて、虫歯の再発を防ぐために本当に大切なことをお話しします。

 

早期発見早期治療 早期発見早期環境改善

「削って詰めれば治る」は、半分だけ正解です

むし歯というと、「削って詰めて終わり」というイメージをお持ちの方が多いと思います。

しかし、令和の時代のむし歯の考え方は、二段階です。

1. むし歯になりにくい環境に整えること
2. できてしまった穴は、人工物で埋めてあげること

大切なのは、この**順番**です。詰めものは「穴をふさぐ」ための処置で、むし歯ができた原因そのものは、詰めても消えません。

むし歯の原因を知ろう

30年の診療で、強く実感していること

私が臨床で強く実感しているのは、

むし歯になりやすい状態(むし歯活動性が高い状態)のままでは、どれだけ丁寧に治療しても、早い時期にむし歯が再発したり、詰めものが外れたりを繰り返しやすい

ということです。ブラッシングや食生活に課題がある場合は、特にそうです。

たとえるなら、床が水びたしの部屋で、壁の穴だけを何度も塗り直しているようなものです。水(原因)を止めない限り、また別の場所が傷んでしまいます。

詰めものの境目などから新しいむし歯ができ、また削って詰める。この繰り返しで、歯は少しずつ小さくなっていきます。歯は、一度削ると元には戻りません。

だからこそ、先に環境を整え、そのうえで必要な修復をする。私はこの流れを何より大切にしています。

削らずに経過をみる

「削らないむし歯治療」は、何もしないことではありません

この考え方は、誤解されやすいところでもあります。「削らない」と聞くと、「治療をしてもらえないのでは」「放っておかれるのでは」と感じる方もいらっしゃいます。

しかし、削らないむし歯治療とは、**環境を改善する治療**のことです。原因を見つけ、磨き方や食習慣を整え、フッ化物などで歯を強くする。これが治療の第一段階です。その後に、必要な部分を最小限の処置で修復します。

環境を整えることは、ただ待つことではなく、れっきとした治療の一部なのです。

 

 

無理のない予防行動の習慣化

「早期治療」から「早期環境改善」へ

以前は、「早期発見・早期治療」と言われてきました。小さいうちに見つけて、早く削って詰める、という考え方です。

今は、「早期発見・早期環境改善」です。見つけたら、まず「なぜむし歯になったのか」を考え、お口の環境を整えていく。これが、現在のむし歯治療の基本です。

 

まず、ご自身の「原因」を知ることから

むし歯の原因は、人によって違います。たとえば、次のようなものです。

– **磨き残し**:特に歯と歯の間や、詰めものの境目は磨きにくい場所です
– **間食の習慣**:だらだら食べや甘い飲み物が続くと、歯が溶けやすい時間が長くなります
– **フッ化物の不足**:フッ化物は、歯を強くする働きがあります

同じように磨いているつもりでも、原因は人それぞれです。歯科医院でご自身の原因を知り、磨き方や食習慣を整えていくことが、再発予防の第一歩です。

 

「削らずに経過をみる」ときも、放置ではありません

初期のむし歯であれば、すぐに削らず、経過をみることもあります。
歯には、自然に修復する力があるからです。お口の環境が整えば、その力を助けることができます。

ただし、担当医のもとで、定期的に状態を確認することが欠かせません。変化があれば、そのときに最小限の処置を考えます。「削らない」ことと「何もしない」ことは、まったく別です。

 

むし歯をつくらない

環境が整うと、再発は落ち着いていきます

虫歯のなりやすさが高く、再発を繰り返してこられた方が、お口の環境を整え、その後も予防を続けていく。すると、むし歯の再発が落ち着き、いつのまにか「むし歯ができない状態」になっていく。私は30年の診療の中で、そうした方を数多く見てきました。

カリエスフリーのお子様はいまや常識です。

 

そのような方に共通しているのは、特別な努力をしているのではなく、予防が生活の一部になっていることです。

歯科医院での定期的なチェックとケアを、運動を続けるように無理なく続ける。

この考え方を「デンタルフィットネス®」と呼んでいます。

無理なく自然にできる状態になると、予防は「頑張ること」ではなくなります。デンタルフィットネス®について、詳しくは下の関連記事もご覧ください。

(※効果には個人差があります。お口の状態により、必要な対応は異なります。)

 

 決め手は、予防行動の「習慣化」

ここまでお話ししたことの中で、いちばん大切なのは、予防行動を習慣にすることです。環境を整えるのは、歯科医院だけでなく、毎日の生活の中だからです。

– フッ化物入りの歯磨き剤で、毎日ていねいに磨く
– フロスや歯間ブラシで、歯と歯の間の汚れを取る
– 間食の回数と時間を、なるべく決める
– 定期的に、歯科医院でチェックを受ける

どれも特別なことではありません。ただ、続けることが何より難しい。

完璧を目指さず、「まずフロスを1日1回」など、小さな一歩から始めてみてください。無理なく続けられる形を見つけることが、いちばんの近道です。

 

 

 

自分の歯は自分で守る

 自分の歯は、自分で守る

最後に、私が30年の診療を通じて、つくづく思うことをお伝えします。

それは、健康は人から与えられるものではないということです。
歯科医師にできるのは、原因を見つけ、環境を整えるお手伝いをすることです。そのうえで、自分の歯を自分で守り、育てていく。その主役は、ご本人です。

だからこそ私は、「治す」ことだけでなく、「守り育てる」ための情報を、しっかりとお伝えする必要があると考えています。このブログが、あなたとご家族の歯を守る一助になれば、これほど嬉しいことはありません。

むし歯を「治す」だけでなく、「つくらない」お口へ。
その一歩を、今日から始めてみませんか。

予防歯科のページ

 

まとめ

– むし歯の治療は、「環境を整える」→「穴を埋める」の二段階。順番が大切
– 穴を詰めただけでは、むし歯の原因は残り、再発や詰めものの脱離を繰り返しやすい
– 「削らないむし歯治療」とは、環境を改善する治療のこと(放置ではない)
– 「早期発見・早期環境改善」が、令和の時代の考え方
– 環境が整い、予防が習慣になると、再発が落ち着いていく方も多い
– 決め手は、予防行動の習慣化。自分の歯は、自分で守り育てる

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この記事を書いた人

菊池 健志(きくち たけし) 医療法人H&S 菊池歯科クリニック 院長(茨城県常陸太田市)

1966年、常陸太田市生まれ。1991年に北海道大学歯学部を卒業し、1996年に菊池歯科クリニックを開院。開業して30年、臨床研修指導歯科医として、虫歯や歯周病の治療から予防まで、地域の患者さんの歯と向き合ってきました。

「削るより、守る」を大切に、治療だけでなく、自分の歯を自分で守り育てるための予防と習慣づくりをお伝えしています。

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※本記事は一般的な情報です。本記事で触れた内容は、保険診療の範囲のものです。お口の状態により、必要な対応は異なります。
気になる症状は、かかりつけの歯科医院にご相談ください。

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